「相手がこう来たら、こう返して…」
頭の中で作戦会議ばかりしてしまい、ピスト上で動けなくなってしまう経験はありませんか?
フェンシングはコンマ数秒の世界。頭で「考えて」から動いていては、相手に追いつけません。
調子が良い時ほど「何も考えていなかった」という経験、ありませんか? 実は、これには理由があります。
なぜ考えすぎると勝てないのか、その思考の罠を一緒に整理してみましょう。
① 正解を探しすぎている
「この場面で何をしたら取れるんだろう?」「何をやったら正解なんだろう?」と探しているうちに、チャンスは通り過ぎてしまいます。
一番もったいないのは、「これをしたらやられそう」という勝手な予測です。
大事なのは、正しい答えを出すことではなく、「今、体が反応したこと」を信じ切ることです。
「これ入るんじゃない?」という直感を無視していないか?
失敗を恐れて、動く前に「確証」を求めていないか?
失敗から生まれる成功、無理やり行ったからこそ生まれる相手のミスもあります。試合でそれをやる怖さは本当によくわかります。だからこそ、言い続けたいポイントです。
② 相手ではなく「自分」を見すぎている
自分のフォームが崩れていないか、自分の突きが綺麗か。意識が自分に向きすぎると、相手の小さな変化を見落とします。
一流の選手は、自分の体は「オートマチック(自動)」に任せ、意識の100%を相手の観察に注いでいます。
ただ、そこまで到達するには時間がかかります。まずは「足し算」ではなく「引き算」で考えてみましょう。
相手の剣の動きの「流れ」を見て、全体を俯瞰する
相手が何を嫌がっているかを第一に考える。どのポイントで得点を重ねられたか?
①と同じく、考えすぎないことがポイントです。
③ 過去のミスと未来の不安に囚われている
「さっき同じところで突かれた」「次外したら負ける」
あなたの意識は、常に「今」にありますか?
過去や未来に心が飛んでいる時、パフォーマンスは著しく低下します。いわゆる「ゾーン」とは、まさに「今」に集中した結果生まれるものです。
今、この瞬間の剣の感触だけに集中することが、最強のメンタルへの近道です。
対処法
現役日本代表が実践している、思考をクリアにする方法です。
やることを絞る ― あれこれ試そうとせず、「今はこれだけやる」と1つか2つに絞る
違和感を大事にする ― 理屈ではなく「なんか嫌だな」「今いける気がする」という野生の勘を信じる
成功パターンを反復する ― うまくいった技をひたすら繰り返す。うまくいかなかったことは繰り返さない
具体的には、こんな練習を取り入れてみてください:
✔ 練習中、あえて「何も考えずに動く」時間を作る → 思考をオフにする感覚を、練習の中で意図的に体験する
✔ 相手の動きを「分析」するのではなく「眺める」感覚を持つ → 細部ではなく全体をぼんやり見ることで、反応速度が上がる
✔ 失敗しても「そうか、次はこうしてみよう」と淡々と受け止める → 感情を引きずらないことが、次の1本への集中力を生む
DE練習会について
今回紹介した内容は、DE練習会でも実際に取り上げているテーマです。
型通りの練習だけでなく、直感やひらめきを引き出すための実戦形式のアドバイスも行っています。
「考えすぎてるな…」と感じている方は、ぜひピストの上で一緒に感覚を養いましょう。無意識に体が動く快感を、練習会で体感してください!